重点施策要望書

1.次世代育成支援・少子化対策

  • 若者に対する経済的負担軽減や優秀な人材の確保のため、官民を問わず、本市で就職する人に対する奨学金返済支援制度について、制度の拡充等、あらゆる方策を検討すること。
  • 家庭の経済状況に関わらず希望の学校が選択できるよう、高校生の通学定期券補助制度の早期実現に向け検討するとともに、高校生世代の子どものいる家庭に対する負担軽減に資する取り組みを検討すること。
  • ナゴヤわくわくプレゼント事業は、今後も継続実施できるよう、恒久財源を確保するとともに、更なる内容の充実を図ること。
  • 少子化の進行に歯止めをかけ、出生率の向上を図るため、特定不妊治療の助成、結婚支援や仕事と子育てを両立できる環境の整備、男性の育児参加の促進、多子世帯への支援など、結婚・妊娠・出産・育児の切れ目ない支援として総合的な少子化対策を検討し、実施すること。
  • 保育所、認定こども園等における3歳未満児の利用料を無償化すること。また、在宅で子育てする世帯への支援制度の充実とその支援制度を選んで利用できる新たなバウチャー制度を創設すること。
  • 令和5年4月1日現在、国の調査要領に基づく保育所等の待機児童は10年連続でゼロを継続したものの、未利用児童数は高水準である。今後の待機児童対策においては、引き続き保育ニーズを的確に把握するよう努めること。また、保育士の確保とともに、質の向上に努めること。
  • 放課後子ども施策の推進にあたっては、本市の特色である留守家庭児童健全育成事業・トワイライトスクール・トワイライトルームを総合的に展開することにより、子どもたちが安心・安全に豊かで健やかな放課後を過ごすことができるよう、令和4年度に策定した「小学校年齢期における放課後施策の新たな方向性」を踏まえ、利用定員や活動内容の拡充と、安定して運営できる体制の確立、環境の整備を図ること。
  • 留守家庭児童健全育成事業については、社会的ニーズの高まりに鑑み、名古屋市が設置している専用室の防音対策を含む施設の充実や用地確保、保護者負担の軽減などを行い、子どもたちが今まで以上に安心して生活ができる環境づくりを、公的責任においてしっかりと支援すること。
  • 児童虐待の予防及び早期発見のため、区役所、民生・児童委員、学校、保育所、病院、警察関係機関及び地域諸団体との連携強化を図ること。また、該当家庭への積極的介入を図り、被虐待児童の保護及び支援に万全を期すとともに、児童虐待防止に向けた事業の推進に努めること。更には、児童虐待相談対応件数や一時保護件数が高い水準で推移している現状を踏まえ、研修等の充実により児童福祉司等の質の向上に努めるとともに、迅速・的確に対応できる第4児相も含めた児童相談所の設置体制について早急に検討を進めること。
  • 市内のヤングケアラーの実態把握や周囲の気づきを促すための周知に努めるとともに、効果的な支援策を検討・実施すること。

2.教育改革の推進

  • 子育て世代の経済的な負担を軽減するための施策として、小学校給食の無償化はもちろんのこと、学用品や修学旅行費などの無償化も含めて義務教育の完全無償化を検討すること。
  • 教育の情報化の推進を図るため、国基準を上回るICT支援員の拡充や教職員及び児童生徒の十分なタブレット端末の予備機配備等の環境整備を進めること。経年劣化を考慮して、タブレット端末の更新を行うこと。
  • 安全安心でおいしい給食をすべての名古屋の子どもたちに提供できるよう、学校給食調理場においてエアコン設備を早期に整備すること。また基本的給食関連施設・設備の改善及び給食食器の更新を図ること。
  • 物価高騰に関わらず、児童生徒の学習権を保障し、保護者負担を軽減するため、標準運営費など学校配当予算を増額すること。また、光熱水費については、必要額を確保した上で固定経費化すること。
  • 小学校における新たな運動・文化活動については参加を希望するすべての子どもたちにとって、より安全で充実した活動の機会が提供できるよう、指導者の確保や処遇改善、人材育成の推進を図ること。
  • 中学校部活動の地域移行については、指導者の確保や運営体制など課題を整理し、諸問題の解消に向けて早急な対応を進めること。
  • 理科室をはじめとした特別教室や体育館へのエアコン設備を早期に設置すること。また、エアコン設置を迅速に進めるため、地方公共団体に対する財政支援措置を拡充するよう国に要望すること。
  • 小中学校における学級編制基準を全学年30人とするなど、教職員定数全体を充実させるとともに、教職員が子どもたちとしっかり向き合うことができ、多様な教育課題に対応するため、専科教員の増員をはじめとした教員配置や、全校への教員業務支援員の派遣など学校現場の実情に応じた人員体制とすることで、本市の教育施策の充実を図ること。
  • 私立高校の授業料補助については、保護者負担の公私間格差の是正を図り、教育の機会均等の原則を確保するよう、現行制度の維持に努めるとともに、補助額の増額を行うこと。
  • すべての児童生徒にとって、いじめ等の相談がしやすい環境を整えるとともに、学校及び教育委員会において組織的な対応を図ること。
  • 増え続ける不登校児童生徒への対応として、子ども適応相談センター第三サテライトを早期に新設すること。

3.安心できる社会福祉の実現

  • 令和5年6月に成立した認知症基本法の理念に基づき、認知症の人が尊厳を保持しつつ希望をもって暮らすことができるよう、もの忘れ検診の実施や精密検査の費用助成による認知症の早期発見、認知症カフェの充実等による社会参加の機会拡大、はいかい高齢者おかえり支援事業等による徘徊する恐れのある方への支援等を実施すること。また、保健医療サービスおよび福祉サービスの切れ目のない提供体制の整備や周りのご家族へのケア、相談体制の強化などを含めて認知症対策に関する施策を総合的に推進すること。
  • 今後ますます増加する高齢者をはじめとした社会的弱者に対する買い物支援策について、移動販売や乗り合いタクシー等、官民連携を含めて局横断的な視点をもち総合的に検討をすること。
  • 次の感染症危機に備えて新たに保健所設置市でも策定されることになった「感染症予防計画」に基づき、PCR検査を始めとする検査の実施体制の整備及び検査能力の向上を図るとともに、感染症患者に対応する病床の確保に向け、県や医療関係団体と連携すること。また、コロナ禍において公衆衛生医師の役割が改めて見直されたことを踏まえ、保健センターにおける公衆衛生医師の確保、育成を推進し、他の医療職を含め人員を充実させることで未知の感染症に備える体制を構築すること。
  • 子どもを交通事故の被害から守るため、交通安全対策の整備を速やかに進め、更には学識経験者等の見識を取り入れるなど新たな対策を検討すること。また、生活道路の交通安全対策については、地域と協働でエリアとして取り組むなど、より効果的な対策を検討し、全市的に展開するよう進めること。
  • 敬老パスについては、円滑な事務運営に努めるとともに、利用上限回数の設定及び対象交通拡大後の新たな制度の検証を進めること。また、最寄り駅として市に近接する市外の鉄道駅等を利用する地域の高齢者ニーズも踏まえ、市内全域に居住する高齢者にとって、より公平で利便性の高い敬老パス制度の検討を続けること。また、利用率向上に向け、他局や民間事業者との連携も含め、あらゆる方策を検討すること。
  • 安心・安全な市民生活を守るために、救急需要の増加時には非常用救急車を最大限に活用するなど救急隊を効率的に運用するとともに、日本一の救急を支える救急活動支援システムの構築などICTの活用を推進し、万全な救急搬送体制の確保に努めること。
  • 市立大学病院が市民の命を守る役割を十分に果たせるよう、救急災害医療センターの建設を進め、国内外トップレベルの救命救急センター及び災害拠点病院を目指して早急に施設整備に取り組むこと。また、施設整備にあたっては、新型コロナウイルス感染症への対応における課題等を踏まえて適切に行うとともに、救急科専門医をはじめ人材確保にしっかりと取り組むこと。
  • 陽子線治療センターについては、今後も安定的な運営ができるよう名古屋市内外へのより積極的な広報により受け入れ患者数の増加に努めるとともに、治療を必要とする方がより広範囲に安心して治療を受けることができる仕組みを構築すること。また、現在までに、小児腫瘍、前立腺がん、肝臓がんの一部、すい臓がん、術後再発の大腸がん等について保険診療が拡大されてきたが、診療報酬改定で保険診療となっていない適応疾病について、今後も健康保険適用等を国に対して強く要望・提言すること。
  • 骨髄ドナー登録者の高齢化及び新規ドナー登録者数の落ち込みによるドナー不足の解消に向けて、より一層、若年層を軸とした提供応諾率の高い新規ドナー登録者数を増やすための取り組みを進めること。また、骨髄等の移植をより一層推進するため、正しい知識の普及に努めるとともに、ドナー及び事業者に対する助成制度について周知・広報を徹底すること。更に、ドナーが骨髄を提供しやすい環境を整えるため、ドナー休暇制度/公欠制度の導入について企業・団体・学校に働きかけるなど、本市が全国的に誇りうる先進的な取り組みを進めること。
  • 住民ニーズに即した公共交通網の充実を図る方策の一つとして、バス路線について営業係数等の枠組みに捉われず実情にあった路線への見直し、転回場での折り返し時間等、定時運行を前提とした運転時間の見直しを図ること。また、地域巡回バスについては、地域ニーズにあわせた利便性の高い路線への見直しを行うとともに、各区別に早朝・夕刻に本数を増発するよう取り組むために必要な財源措置を講ずること。
  • すべてのひとにやさしい街づくりのため、ユニバーサルデザインタクシーの普及促進に努めること。また、タクシーの公共交通機関としての位置づけを明確化し、地域公共交通としての機能を発揮できるようにすること。
  • 民間鉄道事業者に対し、立体交差事業の有無に関わらず、バリアフリー化の工事を実施するよう引き続き働きかけを行うこと。
  • 地域共生社会を実現するため、高齢・障害・病気・貧困・失業・ひきこもりなどの複合的な問題を抱えた世帯への総合相談体制が令和6年度より全区で実施されることを踏まえ、その構築にあたっては複数の異なる課題に取り組んできた相談員の配置などにより、多様な観点が取り入れられるようにすること。また、様々な地域の相談支援機関との連携を進めるとともに、簡単には相談に結びつかない地域の隠れた相談の掘り起こしを行うこと。
  • セクシュアル・マイノリティーに対する差別や偏見は解消すべき人権問題であることから、名古屋市ファミリーシップ制度の導入により、多様性が尊重され、誰もが過ごしやすい社会の実現を図ること。また、性的少数者に対する正しい理解を広めるための相談事業や意識啓発にも積極的に取り組むこと。
  • 女性、子ども、高齢者、障害者、部落差別、外国人などを含んだ包括的な「人権尊重条例(仮称)」を早期に制定すること。

4.大規模地震・風水害対策の推進

  • 避難所運営に対する住民支援にあたっては、地域住民の理解が得られるよう、「指定避難所運営マニュアル」等も活用し、より丁寧な周知を図ること。また、ホテル・旅館等の活用を含めて、多くの避難所の確保に引き続き努めること。
  • 巨大地震と風水害による被害が同時又は時間差をもって発生すること等を想定した複合災害について、職員の意識の変革や知識の習得、スキルの向上を目的とした研修等により、市の災害対応力向上に向けた検討をしていくこと。
  • 南海トラフ巨大地震や頻発する豪雨災害等の発生が危惧される中、市民の生命や生活を守るため、「名古屋市災害対策実施計画」に基づき、各地で発生する豪雨災害などにおける教訓も踏まえ総合的・計画的に対策を進めるとともに、大規模災害時において被災者に寄り添った支援ができるよう、民間事業者や地域住民等との連携を深め、地域防災力の更なる向上に努めること。
  • 災害時に避難所として住民の生活拠点となる学校体育館の空調設備について、小学校への整備を計画どおりに完了すること。また、空調整備をはじめとする各種改修工事等により、避難所となる市有施設の使用制限が生じる場合には、関係局区で連携し、地域の実情に応じてきめ細かく地元住民へ周知すること。
  • 市民に身近な避難所への対策として、食糧をはじめとする備蓄品の充実を図るとともに、想定し得る最大規模の浸水想定をもとにしたハザードマップの公表を踏まえ、浸水が想定される区域においては施設管理者等と協力して早急に避難所ごとの機能確保や通信機能維持策を実施するなど、きめ細やかな対策を徹底すること。
  • 豪雨時に家屋倒壊等をもたらすような氾濫の発生が想定される区域である「家屋倒壊等氾濫想定区域」については、区域外への避難が必要となることから、民間宿泊施設を活用した避難助成の取り組みなどをより一層推進すること。また、当該区域内に居住する方の「逃げ遅れゼロ」実現に向けて、災害リスクや地域特性などを踏まえた、きめ細やかな周知啓発を徹底すること。
  • 南海トラフ巨大地震等に備えるために、これまでに発生した災害の検証や教訓を踏まえ、協定福祉避難所及び指定福祉避難所の更なる確保に努めるとともに、発災直後から速やかに指定福祉避難所が利用できるよう備蓄物資・機材の支援を行うこと。
  • 南海トラフ巨大地震をはじめとする大規模自然災害等の発生に伴う火災や建物の倒壊事故に備え、消防体制の強化に努めるとともに、発災時に急増する救急需要に対応するために人員増、車両の充実など、救急体制の更なる強化に努めること。
  • 重要なライフラインである道路、橋りょう、河川、上下水道施設などが、発災時にも安全に使用できるよう、補強、改修等の対策を速やかに行うこと。
  • 弥富相生山線については、地域の防災、周辺道路の安心・安全のため早期に道路を完成させること。
  • 市民生活に不可欠なライフラインであるスマートフォンにおける情報発信について、ハザードマップや避難所情報、発災時における災害情報などの必要な情報を確認できるよう、アプリ等の内容の充実を図ること。また、スマートフォンの操作に不慣れな高齢者等が、防災情報を円滑に取得できるよう、解説ツールを活用し、スマートフォンを実際に手に取って説明する機会を設けるなど、スマートフォンを活用した防災情報の取得がより一層進むような方策を検討すること。
  • 南陽支所は南海トラフ巨大地震による液状化や津波、台風による高潮、豪雨による浸水被害が懸念されることから、発災後も支所業務を滞りなく継続するために、南陽支所の庁舎機能の確保に向けた改築を一刻も早く実施すること。改築にあたっては、地域住民の津波や高潮、長期湛水からの避難場所及び備蓄物資の保管場所としての機能を有する庁舎とするなど、発災時における災害応急対策に資する機能の強化を図ること。加えて、平時には地域住民や一般市民の防災意識向上に資する啓発施設としても活用できるよう整備すること。
  • 令和3年7月に熱海市で発生した、盛土の崩落に伴う大規模な土砂災害による被害の状況を受けて法令の抜本的な改正が行われ、「宅地造成及び特定盛土等規制法」が令和4年5月に公布されたところである。宅地造成のみならず包括的に規制するものである法改正の趣旨をとらえ、市民の安心・安全に向けて関係各局が十分な連携を図ること。
  • 治水上特に重要な国直轄河川庄内川を始め、愛知県管理河川の改修等更なる治水安全度の向上のため、一層の整備を図ること。特に庄内川の枇杷島狭さく部において、JR新幹線橋りょう、JR東海道本線橋りょうの架け替えに早期着手することを、国や、関係各所に対して強く働きかけること。

5.地域・経済の活性化

  • コロナ禍や物価高高騰等の影響により疲弊している地域経済を支える中小企業を支援するため、消費活性化策や、過去の実施状況や事業者の声を反映し、より使い勝手が良い補助制度を実施すること。
  • 中央卸売本場の整備にあたっては、名古屋国際会議場をはじめ多くの人が訪れる立地条件を鑑み、市場関係事業者の意見も十分に踏まえながら、名古屋の台所として「食」を体感できる機能についても検討をすること。
  • 名古屋市の大きな方向性を示す次期総合計画を策定するにあたっては、「ポストコロナ」「デジタル化」「グリーン化」など世界規模の潮流への的確な対応や、更なる進行が見込まれる少子化への重点的な対策など、新型コロナウイルス感染症が与えた影響から市民の暮らしや雇用を守り、経済の好循環を創出するための新しい施策・事業について積極的に検討を行うこと。
  • プレミアム商品券の発行事業については消費の効果が一部の大規模商業施設等に偏ることなく、中小企業の商店にも広く及ぼされるようにするとともに、よりいっそう地域の活性化、消費喚起を促すような事業となるよう努めること。
  • また、市民が購入の機会を逸することのないよう、公正公平で適切な事業実施に努めることとともに、キャッシュレス決済の利用促進にも努めること。
  • デジタル化の推進、AI・ロボットの導入などアフターコロナでの「新たな日常」やSociety5.0に対応した、新しいサービスの創出につながる企業の投資及びスタートアップの支援や、中小企業における脱炭素・カーボンニュートラルへの対応などイノベーションを促進する取り組みを推進すること。コロナ禍を経て、定着しつつある「新たな日常」に対応できるよう、中小企業におけるDXの普及(AI等新技術の導入を含む設備投資やテレワークの導入及び利用促進に向けた支援)のほか、働き方改革の促進を図ること。

6.都市魅力の向上

  • アジア最大のスポーツの祭典であるアジア競技大会及びアジアパラ競技大会については、市民のスポーツへの関心がより高まり、誰もがスポーツを身近に感じられるよう、大会開催に向けた機運醸成に努めるとともに、東京オリンピック・パラリンピックでの様々な経験を活かし、魅力ある大会を目指して取り組むこと。更には、愛知県及び関係諸団体と連携し、オリンピック・パラリンピックに次ぐ大規模な国際スポーツ大会を契機に、アジアとの交流の促進や名古屋の魅力発信につなげること。
  • リニア中央新幹線については、静岡工区の着手の遅延により2027年開業の遅れが危惧される中、リニア開業を見据えた民間の開発への影響も懸念されるところである。このような民間の不安を払拭し、早期にリニア開業による効果を発揮させるため、国等の関係機関に対し、静岡工区の早期着手についての要望を行うこと。
  • リニア中央新幹線開業に向けて、首都圏のバックアップ機能など、新たな役割を担える強い大都市を目指した取り組みを進めるとともに、災害に強い国づくりに向けた交通ネットワークの形成に努めること。
  • 名古屋駅前広場の再整備について、駅前広場は多くの市民が利用していることから、リニア中央新幹線の開業に向け、今後、工事が錯綜していく中で工事期間中の安全確保について十分配慮すること。また西側駅前広場について、 周辺街区を含めた開発が長期にわたるため、その間も市民が居心地よく利用できるよう対策を検討し、着実に進めていくこと。
  • 名古屋駅を名古屋大都市圏の玄関口にふさわしい駅とするとともに、名古屋駅のスーパーターミナル化について、分かりやすい乗換空間や歩行者空間の拡充などに努めること。また、関係事業者と協議・調整を進め、事業を着実に進めていくこと。
  • 名古屋駅周辺地域については、その魅力を更に高めるよう取り組むとともに、地域の回遊性を高める取り組みについて、笹島交差点以南の地下公共空間の整備を含めて計画が決してぶれることのないよう、着実に進めていくこと。
  • 名駅・栄・金山・大須などにおいて、民間投資の促進や官民連携により、圏域の中枢にふさわしい都市機能の集積や、快適な都市空間の形成を図り、魅力ある都心のまちづくりを進めること。
  • 新たに整備が計画されている名古屋高速道路の栄出入口の設置を契機とし、若宮大通公園の再生や更なる来街者の増加につながる施策など、周辺地区の活性化につながる取り組みの検討に努めること。
  • 400年の歴史をもつ堀川周辺には、名古屋城をはじめ、四間道、名古屋国際会議場、熱田神宮、宮の渡し界隈など歴史・文化資源やMICE施設が多数点在していることから、水上交通をはじめ、民間とも連携して魅力の創出・発信を充実するよう努めること。
  • 堀川の再生、魅力づくりのため、水質浄化の取り組みをはじめ、市民との連携や協働による観光振興などを進めるとともに、水辺環境に配慮した河川整備を推進し、まちづくりの基盤となる取り組みを進めること。
  • 水辺を活用した名古屋の魅力向上を図る水上交通網の充実とネットワーク化にあたっては、新たに導入した船舶の状況や民間事業者及び利用者の意向を把握しながら、公民連携した形での実現に向け取り組むこと。
  • 名古屋城や熱田神宮、名古屋国際会議場、国際展示場など、本市への来訪者が多く訪れる場所やその周辺では、街の魅力を発信できるよう、より質の高い除草・清掃などの維持・管理を実施すること。
  • コミュニティサイクルについて、放置自転車の台数削減効果などが期待されることから、関係局間で引き続き連携し、参入民間事業者に対する支援策の検討や更なる普及促進を進めること。また、観光客の移動の利便性や回遊性の向上を期待されることから、観光推進に活用していくこと。併せて災害時の活用についても検討を進めていくこと。
  • 天守閣の木造復元については、文化庁からの所見及び技術的な助言・指導に従い、解体と復元を一体とした現状変更許可の取得に向けて、各分野の有識者による十分な議論と合意形成を図りながら着実に進めること。併せて、事業目的を確実に達成するために、適切な工期を確保しながら、総事業費505億円を厳守し、進捗状況等については市民や議会に情報提供するなど、理解を得ながら丁寧に進めること。
  • ウクライナ情勢については長期化も懸念されることから、避難民の方々が名古屋で安心して暮らすことができるよう、状況に応じて個別のニーズを把握し必要な支援を継続すること。
  • 姉妹友好都市との交流事業について、双方の都市や市民にとって実益のある交流を行うこと。また、美術館などにおいて実施可能で実効的な取り組みを進めること。
  • コロナ禍により深刻な打撃を受けた観光・イベント関連業界全体の早期回復につながる取り組みを進めるとともに、更なる観光誘客に向けて、名古屋まつりやにっぽんど真ん中祭り、世界コスプレサミットなどの大規模イベントをはじめとする、名古屋の魅力を支えるコンテンツの磨き上げに取り組むこと。
  • 国際展示場の整備については、多様な交流の促進、イノベーションの創出といった展示場の効果を得ることで本市の国際都市への成長及び更なる産業力の向上につながることから、リニア中央新幹線の開業による更なる交流圏人口拡大の機会を見据えて展示会等の開催需要を確実に取り込み、都市間競争に打ち勝つために、第2展示館改築等についても、関係者の理解を得た上で早期に実施できるよう取り組むこと。
  • アジア競技大会及びアジアパラ競技大会やリニア開業を見据え、本市における都市魅力の向上のために、受動喫煙防止の観点から喫煙所の在り方について改めて本市の方針を明確に示すこと。また、路上禁煙地区についても、必要な検討を行うこと。
  • 名古屋競馬場の跡地については、土地区画整理事業による基盤整備を実施しているが、港北エリアの地域特性も考慮しつつ、地域の魅力や賑わいを創出できるよう、着実にまちづくりを推進すること。

7.スポーツを活かした都市の活性化

  • ライフステージに応じた運動・スポーツの実施機会を拡充するなどスポーツ実施率の向上を図り、高齢者の健康づくり・体力づくりの充実を推進すること。
  • 東京オリンピック・パラリンピックのレガシーを継承するため、共生社会の実現や多様な主体によるスポーツ参画の促進が求められている。その中で、多くの市民のスポーツへの関心、機運をよりいっそう高め、令和8年開催予定のアジア競技大会及びアジアパラ競技大会へつなげられるよう、スポーツを「つくる/はぐくむ」という新たな視点を取り入れることなどにより、市民が身近に参加・協力できるスポーツの機会を創出すること。
  • 障害者スポーツの魅力を広め、市内スポーツ施設における障害者の受け入れを更に進めるため、障害者が身近な地域で気軽にスポーツに親しむことができる環境をソフト面・ハード面の両面から整備し、市民の障害者スポーツへの理解を促進するとともに、ボッチャをはじめとするユニバーサルスポーツを通じて健常者と障害者の交流を図ること。また、名古屋市障害者スポーツセンターについては、本市唯一の障害者スポーツの拠点施設であることから、引き続き、老朽化対策及び機能強化などを着実に実施し、旧西区役所跡地に整備する2館目の障害者スポーツセンターについても関係者の意見を丁寧に聞き進めていくこと。
  • アジア競技大会及びアジアパラ競技大会の開催に向け、名古屋市から、トップアスリートが生まれるよう、各競技団体の実施するジュニアアスリートの育成事業への支援を拡充すること。
  • アジア競技大会及びアジアパラ競技大会の開催を控える中、スポーツ施設のストック適正化ガイドラインに基づき保有資産量の適正化に向けた計画を策定するとともに、ネーミングライツや広告収入も活用し、スポーツ施設の計画的な改修を行い、幅広い層の市民が気軽に、安心・安全・快適に利用できるよう、スポーツ環境の整備を進めること。
  • 子どもたちがスポーツに親しみ、楽しむことができるよう、関係する競技団体等と連携してスポーツ実施機会の充実に努めること。

8.持続可能な環境都市の実現

  • 再生可能エネルギーの導入や水素エネルギーの利活用、住宅・建築物のZEH・ZEB化やZEV(電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車)の普及促進など、名古屋市として国が宣言した「2050年カーボンニュートラル」に向けた取り組みを積極的に推進すること。特に、ZEVについては、個人に対する購入への補助制度を広く周知し、普及促進につなげること。
  • 循環型都市の実現に向け、容器包装の削減運動や、フードドライブ等の食品ロス削減の取り組みなどを進めるとともに、民間団体等の自主的な取り組みの拡大のために必要な支援やコーディネートを積極的に実施すること。また令和6年度から開始予定のプラスチック製容器包装とプラスチック製品の一括収集について、市民に分かりやすい効果的な広報を行うこと。更に草木類等の新たな資源化にも積極的に取り組むなど、名古屋市総合計画2023に掲げるごみ処理量の目標値を目指して市民・事業者との協働により施策を推進すること。
  • 道路や公園について、市民が広く・美しく・安全に利用できるように、道路の補修や遊具の更新、除草・清掃、街路樹・公園樹の剪定等を今まで以上に実施し、維持・管理の充実を図ること。また、昨今の倒木事故の状況を踏まえ、公園樹・街路樹の調査や対策について、これまでの施策の継続はもとより、より一層の取り組みを進め、倒木等による重大事故が発生しないよう早急に対策を図ること。
  • 次世代に緑豊かな自然環境を残していくため、公共インフラ整備を行うにあたっては、自然環境が有する多様な機能を賢く利用するグリーンインフラの考え方を積極的に導入すること。

9.SDGsの推進

  • 「SDGs未来都市」として、経済・社会・環境の三側面における新しい価値創出を通して中長期を見通した持続可能な開発を進めることができるよう、全庁横断的にSDGsの達成に向けて取り組むこと。SDGsの総合的な指針である「名古屋市SDGs未来都市計画」の進捗状況の確認・評価を着実に行うこと。
  • 市民へSDGsに関心をもってもらうための普及啓発を行うとともに、「名古屋市SDGs推進プラットフォーム」を活用し、SDGsの達成に向けて活動する市民や事業者等の支援を行うこと。また、本市が位置する愛知県、東海地方、中部地域、国など多層的なSDGsネットワークとの情報共有を図り、産学官民の連携を一層進めること。
  • 平成26年11月の「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議」を開催した成果を生かし、第2期ESD国内実施計画などに基づき、より一層のESDの取り組みを進め、SDGsの推進につなげること。

10.行財政改革の推進

  • 物価高騰で困難な状況にある市民の暮らしと事業者を守るため、支援にかかる十分な財政出動を行うこと。
  • 新型コロナウイルス感染症対策については、大都市の実情を踏まえ、財政力に関わらず国の責任において全額を措置するよう、国に強く要望すること。
  • 市民が行う各種行政手続きについて、業務手順等の見直しを行うとともに、オンライン化に積極的に取り組むこと。また、市民の利便性向上に資する住民票の写し等のコンビニ交付についても早期に実現するよう努めること。
  • 優秀な人材を確保していくため、職員がやりがいを感じ働きやすい職場づくりに取り組むとともに、本市職員として働く魅力について積極的な広報に努めること。また、令和5年度から実施した採用試験の前倒しによる効果の検証を行い、今後の人材確保につなげること。
  • 厳しい財政状況に鑑み、将来への投資を明確にできるようにメリハリをつけた予算配分の実施に努めること。また、配分型予算編成により、一律カットになる傾向があるとともに、局横断的な施策のシフトが進みにくいことから、配分型予算編成の効果と課題の検証を行うとともに、臨時・政策経費の仕組みが十分に機能しているかどうかの検証を進めること。
  • 市民サービスの利便性向上を図るため、区役所窓口における行政手続のデジタル化を進め、業務の効率化とともに、「待たなくて良い」、「書かなくて良い」、「分かりやすい」スマート窓口の実現に向けて取り組むこと。
  • 誤交付等による個人情報の漏えいは、市民の人権問題にも発展しかねないことから、発生ゼロを達成すべく、局・区役所が一体となって内部統制を進め、緊張感を持って業務にあたること。
  • 区長への組織定員・予算権限の移譲を行い、区長権限を強化すること。また、保健と福祉の連携強化や、土木事務所を区役所の組織に位置づけることなどにより、区役所が地域課題解決の拠点としての役割を果たし、市民に最も身近な総合行政機関として、責任ある区役所・支所事業を推進すること。
  • 行政のDXを進めるため、本市の情報システムについては、クラウドの活用やシステムの標準化への対応を推進するとともに、庁内ネットワークについても、無線LANの整備など効果的なICT基盤を早急に整備すること。また職員一人一人がDXを理解・活用して業務改革を実行できるよう、DX人材の確保・育成を積極的に進めること。また、Web会議やチャットツールの活用、テレワークなどの取り組みを推進することで、職員の多様な働き方の実現やペーパーレス化の推進を図ること。
  • 効果的な行政運営の実現に向けて、ICTの活用を前提とした仕事の進め方の見直しや職員の意識改革を行い、長時間労働を是正するとともに、人的資源を重要度のより高い業務にシフトすること。
  • 職員一人一人にとって働きやすい環境を構築するため、働き方改革やデジタル改革を着実に進めるとともに、市役所庁舎についても三の丸地区のまちづくりの検討状況を踏まえながら、移転や改築などの抜本的な対策を含めた市役所庁舎のありかたについて検討を行うこと。
  • 職員の女性活躍を推進するため、代替職員を配置する制度の拡充を着実に図るなど、安心して仕事と子育てが両立できる環境整備を推進すること。また、女性管理職員の割合の向上を長期的な視点を持って進めること。
  • 名古屋市としての公的役割をしっかりと果たせるような計画的な人員配置及び障害者の任用を進めること。
  • 人事委員会勧告は、労働基本権を制約されている職員の適正な処遇を確保することを目的とした地方公務員法上の制度である。この制度の重みを十分に認識し、人事委員会勧告を遵守すること。
  • 入札に関しては総合評価落札方式について、障害者雇用等に加え政策的評価を増やすこと。
  • 公契約条例について、事業者の経営に及ぼす影響など課題を整理しながら、労働者の待遇確保に資する、実効性のある条例の制定に向けて検討を進めること。
  • 新たな地方行政体制の一つの姿として、大都市の規模と能力に見合う強い権限と財源を兼ね備え、地方が行うべき事務を一元的に担う「特別自治市」の実現に向けて、本市がリーダーシップを発揮し、指定都市と連携協力して積極的に取り組むこと。
  • 実現に向けて、本市がリーダーシップを発揮し、指定都市と連携協力して積極的に取り組むこと。

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