重点施策要望書

1.次世代育成支援・少子化対策

  • 本市の次世代育成支援・少子化対策の重点的な取り組みである「子どもの未来全力応援」を取りまとめ、推進すべき子ども青少年局が、先導的に中心的な役割を担い、子ども・子育て支援を全市一丸となって進めるための責務をしっかり果たすとともに、さらなる対策を推し進めるためにも、様々な課題に対する詳細な実態把握を行い、適切な支援策を検討、実施すること。
  • 最重要課題である少子化対策の一環として、子どもたちが無料で本市地下鉄や市バスを乗車することができる子どもパス(仮称)の導入に向け、遅くとも令和7年の8月には試行実施し、課題を整理したうえで早期の事業化に努めること。
  • 若者に対する経済的負担軽減や優秀な人材の確保のため、官民を問わず、本市で就職する人に対する奨学金返済支援制度について、制度の拡充等、あらゆる方策を検討すること。
  • 家庭の経済状況に関わらず希望の学校が選択できるよう、高校生の通学定期券補助制度の早期実現に向け検討するとともに、高校生世代の子どものいる家庭に対する負担軽減に資する取り組みを検討すること。
  • ナゴヤわくわくプレゼント事業は、今後も継続実施できるよう、恒久財源を確保するとともに、更なる内容の充実を図ること。
  • 妊婦健康診査は、公費負担の回数や検査の種類、実施時期等について、医学的エビデンスに基づき、国が「妊婦に対する健康診査についての望ましい基準」を定めているところではあるが、実際には公費負担を上回る回数受けられる方も多く、妊婦の健康保持と胎児の発育の見守りをより充実させるため、超音波検査の公費負担の回数を少なくとも8回以上に増やすこと。
  • 少子化の進行に歯止めをかけ、出生率の向上を図るため、特定不妊治療の助成、結婚支援や仕事と子育てを両立できる環境の整備、男性の育児参画の促進、多子世帯への支援など、結婚・妊娠・出産・育児の切れ目ない支援として総合的な少子化対策を検討し、実施すること。
  • 保育所、認定こども園等における3歳未満児の利用料を無償化すること。また、在宅で子育てする世帯への支援制度の充実とその支援制度を選んで利用できる新たなバウチャー制度を創設すること。
  • 令和6年4月1日現在、国の調査要領に基づく保育所等の待機児童は11年連続でゼロを継続したものの、未利用児童数は高水準である。今後の待機児童対策においては、引き続き保育ニーズを的確に把握するよう努めること。また、保育士の確保とともに、質の向上に努めること。
  • 本市における保育園、幼稚園に対する組織の在り方について、一元化を含めた検討を図ること。
  • 放課後子ども施策の推進にあたっては、本市の特色である留守家庭児童健全育成事業・トワイライトスクール・トワイライトルームを総合的に展開することにより、子どもたちが安心・安全に豊かで健やかな放課後を過ごすことができるよう、令和4年度に策定した「小学校年齢期における放課後施策の新たな方向性」を踏まえ、利用定員や活動内容の拡充と、安定して運営できる体制の確立、環境の整備を図ること。
  • 留守家庭児童健全育成事業については、社会的ニーズの高まりに鑑み、名古屋市が設置している専用室の仕様改善を含む施設の充実や用地確保、保護者負担の軽減などを行い、子どもたちが今まで以上に安心して生活ができる環境づくりを、公的責任においてしっかりと支援すること。
  • 児童虐待の予防及び早期発見のため、区役所、民生・児童委員、学校、保育所、病院、警察関係機関及び地域諸団体との連携強化を図ること。また、該当家庭への積極的介入を図り、被虐待児童の保護及び支援に万全を期すとともに、児童虐待防止に向けた事業の推進に努めること。更には、児童虐待相談対応件数や一時保護件数が高い水準で推移している現状を踏まえ、研修等の充実により児童福祉司等の質の向上に努めるとともに、迅速・的確に対応できる第4児相も含めた児童相談所の設置体制について早急に検討を進めること。
  • 市内のヤングケアラーの実態把握や周囲の気づきを促すための周知に努めるとともに、効果的な支援策を検討・実施すること。

2.教育改革の推進

  • 子育て世代の経済的な負担を軽減するための施策として、小学校給食の無償化はもちろんのこと、学用品や修学旅行費、野外教育費などの無償化も含めて義務教育の完全無償化を検討すること。
  • 教育の情報化の推進を図るため、国基準を上回るICT支援員の拡充や教職員及び児童生徒の十分なタブレット端末の予備機配備等の環境整備を進めること。経年劣化を考慮して、タブレット端末の更新を行うこと。
  • 安全安心でおいしい給食をすべての名古屋の子どもたちに提供できるよう、学校給食調理場においてエアコン設備を早期に整備すること。また基本的給食関連施設・設備の改善及び給食食器の更新を図ること。
  • 物価高騰に関わらず、児童生徒の学習権を保障し、保護者負担を軽減するため、標準運営費など学校配当予算を増額すること。また、光熱水費については、必要額を確保した上で固定経費化すること。
  • 小学校の新たな運動・文化活動については、運営面で課題が多く地域の不安も大きいことから、早急に課題を解決し、子どもたちが安心して、スポーツ、芸術文化等の幅広い活動機会を得られるように取組むこと。
  • 中学校部活動の地域移行について、教職員の兼職兼業について課題を早急に整理し、大会運営の在り方を含む持続可能な運営体制について検討を進めること。
  • 民間プールや市営温水プールの活用をはじめ、温水プールの新規整備を含めた学校プールの在り方について、教育委員会における体制を強化するとともに、スポーツ市民局と連携して早急に検討を進めること。
  • 特別教室や体育館へのエアコン設備を早期に設置すること。また、エアコン設置を迅速に進めるため、地方公共団体に対する財政支援措置を拡充するよう国に要望すること。
  • 小中学校における学級編制基準を全学年30人とするなど、教職員定数全体を充実させるとともに、教職員が子どもたちとしっかり向き合うことができ、多様な教育課題に対応するため、専科教員の増員をはじめとした教員配置など学校現場の実情に応じた人員体制とすることで、本市の教育施策の充実を図ること。
  • 私立高校の授業料補助については、保護者負担の公私間格差の是正を図り、教育の機会均等の原則を確保するよう、現行制度の維持に努めるとともに、補助の拡充を行うこと。
  • すべての児童生徒にとって、いじめ等の相談がしやすい環境を整えるとともに、学校及び教育委員会において組織的な対応を図ること。

3.アジア・アジアパラ競技大会の開催に向けて

  • アジア最大のスポーツの祭典であるアジア競技大会及びアジアパラ競技大会については、市民のスポーツへの関心がより高まり、誰もがスポーツを身近に感じられるよう、大会開催に向けた機運醸成に努めるとともに、パリオリンピック・パラリンピックにおける、既存インフラを活用した持続可能な大会運営や、観光名所を活用した競技・式典の実施といった特色ある取り組みを参考とするなど、魅力ある大会を目指して準備を進めること。更には、愛知県及び関係諸団体と連携し、アジアとの交流の促進や名古屋の魅力発信につなげること。
  • アジア・アジアパラ競技大会の開催に向けて、国内外の観光客が快適に都心を回遊しインバウンド観光拡大につながるインフラ整備に向けて、旅行者のゴミ問題やIoTを活用した分別できるごみ箱等のあり方に向け情報収集に努めるとともに、手ぶら観光の推進に取組むこと。また、大会期間中は、名古屋城やパロマ瑞穂スポーツパーク等施設において、来場者にごみの分別が行えることをPRするとともに、周辺の住宅や民間施設へのごみの持ち込みやポイ捨てが起こらないよう対策・準備を進めること。
  • 児童や生徒、学生に対して、アジア・アジアパラ競技大会をより身近に感じられるような参加型、体験型等イベント等の実施に取り組むとともに教育委員会をはじめとした各局と積極的に連携し大会の持つ様々な価値を伝えられるよう周知啓発を図ること。
  • アジア・アジアパラ競技大会の大会運営の重要な役割を担うボランティアについて、国際交流や共生社会の実現の契機となるよう、学生ボランティアを含め、広く市民に参加を促す取り組みや研修の充実を図ること。
  • アジア・アジアパラ競技大会の開催に向けて、すべてのひとにやさしい街づくりのため、ユニバーサルゾーンの指定、整備、そしてゾーンを広げる等の取り組みについては、大会開催後のレガシーの1つともなるよう、これまでの課題を整理して、関係局、関係機関とも連携して着実に進めること。

4.安心できる社会福祉の実現

  • 女性、子ども、高齢者、障害者、部落差別、外国人などを含んだ包括的な「人権尊重条例(仮称)」を早期に制定すること。尚、検討過程においては、局横断的な連携を図るとともに、遅くとも令和7年度中には実態把握調査や、関係団体へのヒアリング等を行い、条例の実効性を確保すること。
  • 地域共生社会を実現するため、高齢・障害・病気・貧困・失業・ひきこもりなどの複合的な問題を抱えた世帯への総合相談体制については、複数の異なる課題に取り組んできた相談員の配置などにより、多様な観点が取り入れられるようにすること。また、様々な地域の相談支援機関との連携を進めるとともに、簡単には相談に結びつかない地域の隠れた相談の掘り起こしを行うこと。
  • 単身世帯や単身高齢者世帯が増加し、孤独・孤立問題が深刻化していることを踏まえ、本市の実情を把握するための実態調査を実施すること。あわせて、地方版孤独・孤立対策官民連携プラットフォームの令和7年度の設置に向けて鋭意取り組むこと。また、孤独・孤立問題は、生活困窮や介護、ひきこもり、児童虐待などの様々な社会課題と関連することから、全庁的に連携して対策に取り組むこと。
  • 高齢化の進展に伴う救急患者の増や医師の働き方改革の影響から、重症・重篤な患者に対応する第二次、第三次救急医療体制に負担が集中する現状を踏まえ、市民が必要な時に必要な医療が安心して受けられる体制を確保するため、救急医療機関への支援を実施すること。
  • 安心・安全な市民生活を守るために、救急需要の増加時には非常用救急車を最大限に活用するなど救急隊を効率的に運用するとともに、日本一の救急を支える救急活動支援システムの構築などICTの活用を推進し、万全な救急搬送体制の確保に努めること。
  • 市立大学病院が市民の命を守る役割を十分に果たせるよう、救急災害医療センターの建設を進め、国内外トップレベルの救命救急センター及び災害拠点病院を目指して早急に施設整備に取り組むこと。また、救急科専門医をはじめ人材確保にしっかりと取り組むこと。
  • 陽子線治療センターについては、今後も安定的な運営ができるよう名古屋市内外へのより積極的な広報により受け入れ患者数の増加に努めるとともに、治療を必要とする方がより広範囲に安心して治療を受けることができる仕組みを構築すること。また、診療報酬改定で保険診療となっていない適応疾病について、今後も健康保険適用等を国に対して強く要望・提言すること。
  • 骨髄ドナー登録者の高齢化及び新規ドナー登録者数の落ち込みによるドナー不足の解消に向けて、骨髄等の移植についての正しい知識の普及啓発及び、若年層を軸とした新規ドナー登録者数を増やすための取り組みを進めること。また、ドナーが骨髄を提供しやすい環境を整えるため、ドナー休暇制度/公欠制度の導入について企業・団体・学校に働きかけるなど、本市が全国的に誇りうる先進的な取り組みを進めること。
  • 認知症基本法の理念に基づき、認知症に関する正しい知識と認知症の人に関する正しい理解を深めること。認知症疾患医療センターの更なる拡充を図るとともに、保健医療サービスおよび福祉サービスの切れ目のない提供体制の整備や周りのご家族へのケア、早期発見、相談体制の強化など、認知症対策に関する施策を総合的に推進すること。
  • 敬老パスについては、円滑な事務運営に努めるとともに、利用上限回数の設定及び対象交通拡大後の新たな制度の検証を進めること。また、最寄り駅として市に近接する市外の鉄道駅等を利用する地域の高齢者ニーズも踏まえ、市内全域に居住する高齢者にとって、より公平で利便性の高い敬老パス制度の検討を続けること。また、交付率向上に向け、タクシー利用への拡大など他局や民間事業者との連携も含め、あらゆる方策を検討すること。
  • 今後ますます増加する高齢者をはじめとした社会的弱者に対する買い物支援策について、地域ニーズを把握するための調査を令和7年度中に実施するとともに、買い物弱者マップを作成すること。また、調査結果をもとに既存の公共交通に加えての新たな移動手段の導入や、移動物販事業者へのマッチングや補助の検討など買い物弱者のための支援策を官民連携含めて局横断的な視点をもって具体的に検討すること。
  • 障害児者福祉、介護、保育等のサービスの質の向上と利用者の福祉の向上のため、法令に定められた実地指導等を実施するのに十分な職員配置やICTの活用など業務の効率化による体制整備に努めること。また、実地指導等の機会は、市民により良いサービスを提供するための諸相談等を受ける場であり、コミュニケーションに努め、不正等の未然防止及び福祉サービスの質の向上を図ること。
  • 子どもホスピス設立に向けた民間団体の取り組みについて、本市としてホスピスの意義を十分理解し、その支援について検討すること。
  • 子どもを交通事故の被害から守るため、交通安全対策の整備を速やかに進め、更には学識経験者等の見識を取り入れるなど新たな対策を検討すること。また、生活道路の交通安全対策については、地域と協働でエリアとして取り組むなど、より効果的な対策を検討し、全市的に展開するよう進めること。
  • 住民ニーズに即した公共交通網の充実を図る方策の一つとして、バス路線について営業係数等の枠組みに捉われず実情にあった路線への見直し、転回場での折り返し時間等、定時運行を前提とした運転時間の見直しを図ること。また、地域巡回バスについては、地域ニーズにあわせた利便性の高い路線への見直しを行うとともに、各区別に早朝・夕刻に本数を増発するよう取り組むために必要な財源措置を講ずること。
  • 民間鉄道事業者に対し、立体交差事業の有無に関わらず、バリアフリー化の工事を実施するよう引き続き働きかけを行うこと。
  • すべてのひとにやさしい街づくりのため、ユニバーサルデザインタクシーの普及促進に努めること。また、タクシーの公共交通機関としての位置づけを明確化し、地域公共交通としての機能を発揮できるようにすること。
  • 悪質クレーム行為等の「カスタマーハラスメント」の防止について、国、愛知県、各自治体の取り組み状況を踏まえ、早期に条例制定を行うこと。また、働く意欲のある人誰もが就業環境を害されることのないよう、企業における対策や取り組みが積極的に行われるよう支援の拡充を早期に実施するとともに、市民に向けた消費者教育、啓発の充実に努めること。
  • 本市職員に対する「カスタマーハラスメント」対策については、就業環境が害されないよう相談体制の整備、被害職員への配慮のための取り組み、対応マニュアルの作成や研修の実施等を行い、組織として適切に対応すること。

5.大規模地震・風水害対策の推進

  • 発災時に人命を守り、迅速な復旧・復興を図るためには、行政の力が必要不可欠であることから、令和6年能登半島地震の検証結果等を踏まえ、名古屋市災害対策実施計画を始めとした必要な計画の見直しを行い、防災体制の確立を図ること。
  • 令和6年能登半島地震の課題等を踏まえ、女性の視点に立った避難所運営が行われるよう、女性防災リーダーの育成など防災意識を高める取り組みを行うこと。
  • 令和6年能登半島地震において、戸建て住宅への被害が広域的に発生していることから、本市においても、液状化による被害を軽減し、市民の生活再建が早期に図られるよう、所有者等が行う液状化対策のための調査費や対策工事に関わる費用への助成制度を創設すること。また、耐震診断義務付け路線の沿道建築物については、耐震化率の向上が喫緊の課題であるため、しっかりと周知啓発を実施するとともに、丁寧にサポートを行うなど、現状28%の耐震化率を令和12年度時点で60%と言う「名古屋市建築物耐震改修促進計画」に掲げる耐震化の目標を目指し、様々な方策で耐震化を図ること。
  • 南海トラフ巨大地震の被害想定見直しにあたっては、平成26年の被害想定公表から約10年が経過していることから、これまでの取り組みや教訓を総括し、最新の知見に基づき、きめ細やかな視点での見直しを行うこと。
  • 南海トラフ巨大地震等に備え、避難所においては地域のニーズに応じた資機材等の配備ができる仕組みを検討するとともに、マンション等においては災害時特有の課題があることから、関係局区で連携し、防災備蓄資機材の配備を支援する取り組みを進めるなど、地域防災力のさらなる向上に努めること。
  • 重要なライフラインである道路、橋りょう、河川、上下水道施設などが、発災時にも安全に使用できるよう、補強、改修等の対策を速やかに行うこと。
  • 弥富相生山線については、地域の防災、周辺道路の安心・安全のため早期に道路を完成させること。
  • 想定し得る最大規模の風水害対策として、被害想定の算出により明らかとなった大規模な被害の様相を踏まえて、市民の方々が災害を自分事と捉え、具体的な備えにつながるよう、啓発に努めること。特に甚大な被害が想定される地域に対してはあらかじめ浸水想定区域外に避難するなどの多様な避難への理解促進を図るなど地域特性を踏まえた取り組みを進めること。
  • 治水上特に重要な国直轄河川庄内川を始め、愛知県管理河川の改修等更なる治水安全度の向上のため、一層の整備を図ること。特に庄内川の枇杷島狭さく部において、JR新幹線橋りょう、JR東海道本線橋りょうの架け替えに早期着手することを、国や、関係各所に対して強く働きかけること。
  • 南海トラフ巨大地震等に備えるために、これまでに発生した災害の検証や教訓を踏まえ、協定福祉避難所及び指定福祉避難所の更なる確保に努めるとともに、発災直後から速やかに指定福祉避難所が利用できるよう備蓄物資・機材の支援を行うこと。
  • 南海トラフ巨大地震をはじめとする大規模自然災害等の発生に伴う火災や建物の倒壊事故に備え、消防体制の強化に努めるとともに、発災時に急増する救急需要に対応するために救急隊の増隊を含め、人員増、車両の充実など、救急体制の更なる強化に努めること。
  • 巨大地震と風水害による被害が同時又は時間差をもって発生すること等を想定した複合災害について、職員の意識の変革や知識の習得、スキルの向上を目的とした研修等により、市の災害対応力向上に向けた検討をしていくこと。
  • 災害時に避難所として住民の生活拠点となる学校体育館の空調設備について、小学校への整備を計画どおりに完了すること。また、空調整備をはじめとする各種改修工事等により、避難所となる市有施設の使用制限が生じる場合には、関係局区で連携し、地域の実情に応じてきめ細かく地元住民へ周知すること。
  • 防災情報の発信について、さらなる内容の充実を図るとともに、防災アプリについては、より多くの方にダウンロードしていただけるよう、効果的な周知啓発に取り組むこと。
  • 港防災センターについて、実践的な防災訓練や人材育成を行うためには、より広い敷地への早期移転が必要である中、統廃合が予定されている野跡小学校の跡地は、敷地面積が広く、各方面から多くの来場者を見込めるため、野跡小学校の校舎等を再構築し、南海トラフ等の地震津波災害・伊勢湾台風・東海豪雨(過去、現在、未来)の災害を考慮した、学習、体験、訓練等を行う総合的な防災啓発・人材育成の拠点施設を整備すること。また移転後の防災センター跡地は区役所において有効に活用すること。
  • 南陽支所は南海トラフ巨大地震による液状化や津波、台風による高潮、豪雨による浸水被害が懸念されることから、発災後も支所業務を滞りなく継続するために、南陽支所の庁舎機能の確保に向けた改築を一刻も早く実施すること。

6.地域・経済の活性化

  • 物価高騰等の影響により疲弊している地域経済を支える中小企業を支援するため、過去の実施状況や事業者の声を反映し、消費活性化策の実施や、適切な価格転嫁が行われるよう方策を検討すること。
  • プレミアム商品券の発行事業については、物価高の現状を鑑み来年度以降も事業を継続すること。また不正の防止、DX推進の観点から電子商品券の割合を再検討し、キャッシュレス決済の推進にも努めること。
  • 新しいサービスの創出につながる企業の投資及びスタートアップの支援や、中小企業における脱炭素・カーボンニュートラルへの対応などイノベーションを促進する取り組みを推進すること。コロナ禍を経て、定着しつつある「新たな日常」に対応できるよう、中小企業におけるDXの普及(AI等新技術の導入を含む設備投資やテレワークの導入及び利用促進に向けた支援)のほか、働き方改革の促進を図ること。
  • イノベーション人材の育成をさらに進めるため、ナゴヤ・イノベーターズ・ガレージ等のイノベーション拠点を核として、企業間の交流・共創を促すことにより、当地域におけるイノベーションの創出を促進すること。

7.都市魅力の向上

  • アジア・アジアパラ競技大会の開催やリニア中央新幹線の開業など、名古屋の魅力を発信できる絶好の機会を迎える中で、関東圏へ流出超過の傾向にある若い世代を重点的なターゲットとして位置づけ、広報部門とも連携しながら中長期的かつ戦略的な視点を持ってシティプロモーションを推進すること。
  • 名古屋駅前広場の再整備について、駅前広場は多くの市民が利用していることから、リニア中央新幹線の開業に向け、今後、工事が錯綜していく中で工事期間中の安全確保について十分配慮すること。また西側駅前広場について、 周辺街区を含めた開発が長期にわたるため、その間も市民が居心地よく利用できるよう対策を検討し、着実に進めていくこと。
  • 名古屋駅を名古屋大都市圏の玄関口にふさわしい駅とするとともに、名古屋駅のスーパーターミナル化について、分かりやすい乗換空間や歩行者空間の拡充などに努めること。また、関係事業者と協議・調整を進め、事業を着実に進めていくこと。
  • 名古屋駅周辺地域については、その魅力を更に高めるよう取り組むとともに、地域の回遊性を高める取り組みについて、笹島交差点以南の地下公共空間の整備を含めて計画が決してぶれることのないよう、着実に進めていくこと。
  • 新たな路面公共交通システムSRTについては、アジア・アジアパラ競技大会の開催やリニア中央新幹線の開業などを契機に国内外からの来訪者が増加することを見据え、都心部の回遊性向上や賑わいの拡大に繋げるためにも導入を着実に進めること。
  • 名駅・栄・金山・大須などにおいて、民間投資の促進や官民連携により、圏域の中枢にふさわしい都市機能の集積や、快適な都市空間の形成を図り、魅力ある都心のまちづくりを進めること。
  • 新たに整備が計画されている名古屋高速道路の栄出入口の設置を契機とし、若宮大通公園の再生や更なる来街者の増加につながる施策など、周辺地区の活性化につながる取り組みの検討に努めること。
  • 金山駅周辺地域については、金山のさらなる拠点性の強化を図るとともに、アスナル金山の再整備や市民会館の改築を基軸とした多様な文化芸術に触れられるウォーカブルなまちの形成に向け、計画の具体化を図り早期に進めること。また、金山総合駅南口を始め地域全体の活性化に向け、都市再生推進法人制度の活用など官民連携による取り組みについて、関係局と連携のうえ検討を進めること。
  • 400年の歴史をもつ堀川周辺には、名古屋城をはじめ、四間道、名古屋国際会議場、熱田神宮、宮の渡し界隈など歴史・文化資源やMICE施設が点在していることから、水上交通をはじめ、民間とも連携して魅力の創出・発信を充実するよう努めること。
  • 堀川の再生、魅力づくりのため、市民との連携や協働による観光振興などを進めるとともに、水辺環境に配慮した河川整備を推進し、まちづくりの基盤となる取り組みを進めること。
  • 堀川・新堀川の水質浄化については、これまで堀川へ導水の社会実験が行われてきたが、木曽川水系連絡導水路事業を再開するにあたり、堀川へ恒久的に導水できるよう国へしっかりと働きかけ、早期の実現を図ること。また、それに伴い、堀川から新堀川への導水の実現についても鋭意取り組むこと。
  • 中川運河の有する資源を生かしたウォーカブルなまちづくりの実現に向けて、再生の核となる拠点の早期形成に努めるとともに、官民連携による魅力的な水辺空間の形成に取り組むこと。また、水上交通の乗船客数増加に向けた取り組みを進め、水上交通網の充実とネットワーク化を図ること。
  • 天守閣の木造復元については、文化庁からの所見及び技術的な助言・指導に従い、解体と復元を一体とした現状変更許可の取得に向けて、各分野の有識者による十分な議論と合意形成を図りながら着実に進めること。併せて、事業目的を確実に達成するために、適切な工期を確保しながら、総事業費505億円を厳守し、進捗状況等については市民や議会に情報提供するなど、理解を得ながら丁寧に進めること。
  • 姉妹友好都市との交流事業について、文化・経済・交換留学、スポーツ交流事業など、双方の都市や市民にとって実益のある交流を行うとともに、市民が「姉妹友好都市」を身近に感じる事業をより一層推進すること。また、美術館などにおいて実施可能で実効的な取り組みを進めること。
  • 国際展示場の整備については、多様な交流の促進、イノベーションの創出といった展示場の効果を得ることで本市の国際都市への成長及び更なる産業力の向上につながることから、リニア中央新幹線の開業による更なる交流圏人口拡大の機会を見据えて展示会等の開催需要を確実に取り込み、都市間競争に打ち勝つために、さらなる機能強化についても、関係者の理解を得た上で早期に実施できるよう取り組むこと。
  • インバウンドを呼び込める魅力的なホテル整備を後押しするため、旅館業に係る構造設備等の基準について、フロント手続きの緩和や外の景観も楽しめる浴室の設置などが可能となるよう見直しを検討すること。
  • 名古屋競馬場の跡地については、土地区画整理事業による基盤整備を実施しているが、港北エリアの地域特性も考慮しつつ、地域の魅力や賑わいを創出できるよう、着実にまちづくりを推進すること。
  • 受動喫煙防止の観点から喫煙所の在り方について改めて本市の方針を明確に示すとともに、全庁的に情報共有を図ること。また、路上禁煙地区についても、必要な検討を行うこと。

8.スポーツを活かした都市の活性化

  • 各ライフステージに応じた運動・スポーツの実施機会を拡充する等、スポーツ実施率の向上を図るとともに、高齢者にあってはスポーツを活かした生きがいづくりや社会参画の促進のほか、介護予防を目的とした事業を推進すること。
  • 令和8年に開催予定のアジア競技大会及びアジアパラ競技大会へつなげられるよう、市民のスポーツへの関心・機運をよりいっそう高め、すべての市民が「楽しさ」や「喜び」を感じながら、スポーツへ自発的に参画する機会を創出すること。
  • 多様性を尊重し合う共生社会の実現に向けて、年齢、性別、障害の有無やスポーツの得意・不得意等に関わらず、その場にいる誰もが一緒に楽しむことができるユニバーサルスポーツの普及促進を図ること。
  • 市民の障害者への理解を促進するとともに、障害者スポーツの裾野を広げ、市内スポーツ施設における障害者の受け入れを更に進めるため、障害者が身近な地域で気軽にスポーツに親しむことができる環境をソフト・ハードの両面から整備し、障害者のスポーツの習慣化に取り組むこと。
  • 名東区にある名古屋市障害者スポーツセンターについては、現在のところ、本市唯一の障害者スポーツ施設であることから、引き続き、老朽化対策及び機能強化などを着実に実施するとともに、旧西区役所跡地に整備する「新たな障害者スポーツセンター(仮称)」については、関係者の意見を丁寧に聞き進めていくこと。
  • 子どもたちが、スポーツに親しみ、楽しむことができるよう、地域、学校、競技団体等と連携してスポーツ実施機会の充実に努めること。
  • スポーツ施設のストック適正化ガイドラインに基づき保有資産量の適正化に向けた計画を策定するとともに、ネーミングライツや広告収入も活用し、スポーツ施設の計画的な改修を行い、幅広い層の市民が気軽に、安心・安全・快適に利用できるよう、スポーツ環境の整備を進めること。

9.持続可能な環境都市の実現

  • 再生可能エネルギーの導入や、住宅・建築物のZEH・ZEB化やZEV(電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車)の普及促進など、名古屋市として国が宣言した「2050年カーボンニュートラル」に向けた取り組みを積極的に推進すること。ZEVについては個人に対する購入への補助制度を広く周知するとともに、既設の太陽光発電システムに対する蓄電池設置の補助金も令和6年度から再開し災害時における停電対応にもつながることから、さらなる普及促進につなげること。
  • 次世代の脱炭素エネルギーとして期待される水素について、社会実装や低炭素水素の普及に向けて、官民連携による取り組みを進めること。
  • 循環型都市の実現に向け、使い捨てプラスチック削減や、フードドライブ等の食品ロス削減の取り組みなどを進めるとともに、民間団体等の自主的な取り組みの拡大のために必要な支援やコーディネートを積極的に実施すること。また、令和6年度から開始したプラスチック製容器包装とプラスチック製品の一括収集について、市民に分かりやすい効果的な広報を行うこと。更に、新たな品目の資源化にも積極的に取り組むなど、策定予定の名古屋市総合計画2028に掲げる循環型都市づくりに向けた施策を推進すること。
  • 道路や公園について、市民が広く・美しく・安全に利用できるように、道路の補修や遊具の更新、除草・清掃、街路樹・公園樹の剪定等を今まで以上に実施し、維持・管理の充実を図ること。また、街路樹・公園樹の調査や安全対策について、これまでの施策の継続はもとより、より一層の取り組みを進め、倒木等による重大事故の防止や防犯性の向上などを早急に推進すること。
  • 次世代に緑豊かな自然環境を残していくため、公共インフラ整備を行うにあたっては、自然環境が有する多様な機能を賢く利用するグリーンインフラの考え方を積極的に導入すること。また、令和6年度から開始したグリーンインフラ導入モデル事業については、事業を通じて市民へのPRを図るとともに、得られた成果や課題を踏まえ、全市への展開について検討すること。
  • 大気環境の改善及び自動車部門のCO2削減のため、市民向けのゼロエミッション車購入補助を推進するとともに、市役所の公用車や市バスにおいても電動車の導入拡大に取り組むこと。

10.行財政改革の推進

  • 人材不足や資材価格の高騰等が経常化するなかで、入札不調が増加していることから、遅延によってさらなる経費の増加や事業者の負担増につながることがないよう、適正な規模での発注、最新単価の適用や発注の平準化に努めること。
  • 物価高騰で困難な状況にある市民の暮らしと事業者を守るため、支援にかかる十分な財政出動を行うこと。
  • 公契約条例について、事業者の経営に及ぼす影響など課題を整理しながら、労働者の待遇確保に資するよう、賃金下限設定の有無も含め、実効性のある条例の制定に向けて検討を進めること。
  • 市民が行う各種行政手続きについて、「行政手続オンライン化計画」に基づき、令和7年度までに原則として全ての手続きのオンライン化を確実に行うこと。また、市民の利便性向上に資する住民票の写し等のコンビニ交付についても早期に実現するよう努めること。
  • 行政手続きのオンライン化は、市民の利便性向上や窓口の混雑解消といった観点から急務であるが、本市の保健福祉業務においてはオンライン化が遅れていることから、早急にオンライン化を推進するとともに、そこから生じる人的余力を、高齢者や障害のある方への相談や訪問支援などに振り向けることで、各種支援の充実を図ること。
  • 優秀な人材を確保するため、職員がやりがいを感じ、働きやすい職場づくりに取り組むとともに、本市職員として働く魅力を積極的に広報に努めること。また、令和5年度から実施した採用試験の前倒しによる効果の検証を行い、今後の人材確保につなげること。さらに、技能労務職員や会計年度任用職員の募集が年々難しくなっている現状を市全体の問題として認識し、安心して安全に働ける職場環境を整えることの対策を講じること。
  • 厳しい財政状況に鑑み、将来への投資を明確にできるようにメリハリをつけた予算配分の実施に努めること。また、配分型予算編成により、一律カットになる傾向があるとともに、局横断的な施策のシフトが進みにくいことから、配分型予算編成の効果と課題の検証を行うとともに、臨時・政策経費の仕組みが十分に機能しているかどうかの検証を進めること。
  • 市民サービスの利便性向上を図るため、区役所窓口における行政手続のデジタル化を進め、業務の効率化とともに、「待たなくて良い」、「書かなくて良い」、「分かりやすい」スマート窓口の実現に向けて取り組むこと。
  • 誤交付等による個人情報の漏えいは、市民の人権問題にも発展しかねないことから、発生ゼロを達成すべく、局・区役所が一体となって内部統制を進め、緊張感を持って業務にあたること。
  • 区長への組織定員・予算権限の移譲を行い、区長権限を強化すること。また、保健と福祉の連携強化や、土木事務所を区役所の組織に位置づけることなどにより、区役所が地域課題解決の拠点としての役割を果たし、市民に最も身近な総合行政機関として、責任ある区役所・支所事業を推進すること。
  • 行政のDXを進めるため、本市の情報システムについては、クラウドの活用やシステムの標準化への対応を推進するとともに、庁内ネットワークについても、無線LANの整備など効果的なICT基盤を早急に整備すること。また、職員一人一人がDXを理解・活用して業務改革を実行できるよう、積極的にDXリテラシー等を学ぶ職員の意欲を高めるため、職員の資格取得を支援すること。また、WEB会議やチャットツールの活用、テレワークなどの取り組みを推進することで、職員の多様な働き方の実現やペーパーレス化の推進を図ること。
  • 効果的な行政運営の実現に向けて、業務フローの可視化及び業務の分析を行い、ICTの活用を前提とした抜本的な業務改革に取り組むこと。またあわせて、職員の意識改革を行うことで長時間労働を是正し、人的資源を重要度のより高い業務にシフトすること。
  • 職員一人一人にとって働きやすい環境を構築するため、働き方改革やデジタル改革を着実に進めるとともに、市役所庁舎についても三の丸地区のまちづくりの検討状況を踏まえながら、移転や改築などの抜本的な対策を含めた市役所庁舎のありかたについて検討を行うこと。
  • 職員の女性活躍を推進するため、代替職員を配置する制度の拡充を着実に図るなど、安心して仕事と子育てが両立できる環境整備を推進すること。また、女性管理職員の割合の向上を長期的な視点を持って進めること。
  • 名古屋市としての公的役割をしっかりと果たせるような計画的な人員配置及び障害者の任用を進めること。
  • 新たな地方行政体制の一つの姿として、大都市の規模と能力に見合う強い権限と財源を兼ね備え、地方が行うべき事務を一元的に担う「特別自治市」の実現に向けて、本市がリーダーシップを発揮し、指定都市と連携協力して積極的に取り組むこと。
  • 若年層の投票率の向上に向けた選挙啓発に取り組むとともに、無線通信を積極的に活用し期日前投票所を拡充すること。また、複数区の市民が投票できる集合型期日前投票所の設置を検討し、投票環境の向上に努めること。

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