はじめに
世界情勢は依然として不安定な状況が続いている。長引く国際紛争や地政学的リスクの高まり、世界的なインフレ、エネルギー価格や食料価格の変動に加え、各国の通商政策や関税措置の影響は、日本経済にも大きな影響を及ぼしている。国内においても、長期化する物価高騰に賃金の上昇が十分に追いつかず、市民生活や地域経済は厳しい状況が続いている。特に子育て世帯や高齢者、低所得世帯、中小企業・小規模事業者への影響は深刻であり、生活を守るための物価高対策と地域経済を下支えする施策を切れ目なく講じることが求められる。
一方で、我が国は急速な人口減少社会へと突入し、労働力不足や社会保障費の増大など、多くの課題が現実のものとなっている。こうした時代だからこそ、限られた財源を真に必要な施策へ重点的に配分し、徹底した行財政改革を進めながら、市民サービスの質を維持・向上させていくことが不可欠である。デジタル技術やキャッシュレス化などを積極的に活用し、行政運営の効率化と市民の利便性向上を同時に実現する視点がこれまで以上に重要となっている。
また、本市ではアジア・アジアパラ競技大会を開催し、その成果を一過性のものとすることなく、スポーツ振興、国際交流、観光誘客、都市ブランドの向上、バリアフリー・共生社会の推進など、将来にわたるレガシーとして着実に活かしていかなければならない。大会を契機として得られた経験や施設、人材を市民の財産として次世代へ引き継ぐ視点が求められる。
さらに、南海トラフ巨大地震への備えや激甚化・頻発化する豪雨災害への対策、猛暑による熱中症対策など、市民の命を守る危機管理体制の強化は待ったなしの課題である。防災・減災対策に加え、避難所環境の改善や地域防災力の強化など、平時からの備えを着実に進めていく必要がある。
そして何よりも、未来への最大の投資は「子ども」である。少子化の進行に歯止めがかからない今こそ、子どもを安心して産み育てられる環境づくり、質の高い教育、安心できる保育環境、子どもの貧困対策、不登校支援、放課後の居場所づくりなど、あらゆる政策において「チルドレン・ファースト」の視点を徹底しなければならない。子どもたちの笑顔と成長を支えることが、名古屋の未来を支える最も重要な投資である。
私たち名古屋民主市会議員団は、「今を守り、未来を創る」責任ある市政を実現するため、市民生活を支える物価高対策と地域経済の活性化を進めるとともに、不断の行財政改革によって持続可能な財政基盤を築き、限られた財源を真に必要な施策へ重点配分することを重視する。そして、子ども・子育て政策を市政の中心に据えた「チルドレン・ファースト」のまちづくりをはじめ、防災・減災、福祉、医療、教育、環境、産業振興、都市基盤整備など幅広い分野において、市民目線に立った現実的かつ実効性のある政策を積極的に提案していく。
「令和9年度予算に対する要望書」は、地域に根差した日々の活動を通じ、市民一人ひとりから寄せられた声を丁寧に積み重ねたものである。この要望が、市民生活の安心につながるとともに、将来世代に誇れる持続可能な名古屋の実現に向けた確かな一歩となることを心より願う。
令和8年9月
